大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和51(さ)5 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

被告人を科料三六〇〇円に処する。

右科料を完納することができないときは、金九〇〇円を一日に換算した

期間、被告人を労役場に留置する。

理 由

記録によると、高崎簡易裁判所は、被告人に対する軽犯罪法違反被告事件(同庁

昭和四九年(い)第一〇七三五号)について、昭和四九年八月一日付の略式命令に

より、「被告人は、昭和四九年五月二五日午後六時四五分頃東京都台東区ab番地

c付近道路において、通行中のA(当二〇年)に対し、『お茶を飲みに行こう』等

と申向け、同人がこれを拒否するや、更に同人の手首を握る等して執拗につきまと

い、もつて他人に迷惑を覚えさせるような方法でつきまとつたものである。」との

事実を認定し、軽犯罪法一条二八号、刑法一八条を適用して、被告人を科料四〇〇

〇円(その不完納の場合は金一〇〇〇円を一日に換算した期間労役場留置)に処し、

右略式命令は同年八月二八日確定したものであることが明らかである。

しかしながら、軽犯罪法一条二八号、刑法一七条、罰金等臨時措置法二条二項に

よれば、右軽犯罪法違反の罪の科料の範囲は、二〇円以上四〇〇〇円未満であるか

ら、これを超過して被告人を科料四〇〇〇円に処した右略式命令は、法令に違反し

たものであり、しかも、被告人にとつて不利益であるといわなければならない。

よつて、刑訴法四五八条一号但書により、原略式命令を破棄し、被告事件につい

て更に判決することとする。

原略式命令によつて確定された軽犯罪法違反の事実に法令を適用すると、右事実

は、軽犯罪法一条二八号、刑法一七条、罰金等臨時措置法二条二項に該当するから、

所定刑中科料刑を選択し、その金額の範囲内で被告人を科料三六〇〇円に処し、右

- 1 -

科料を完納することができないときは、刑法一八条により金九〇〇円を一日に換算

した期間被告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官臼井滋夫 公判出席

昭和五一年六月三日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 団 藤 重 光

裁判官 下 田 武 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!